2008年度 センター試験【世界史B】分析
(1)全体の特徴
出題数は昨年度と同じ。語句選択問題が減少し、語句の組み合わせや短文の正誤組み合わせ問題が増加した。出題分野は政治史が中心で社会経済史や文化史の出題が少ない。設問やそのテーマに関する知識・年代順など、やや細かい知識が要求され、昨年度に比べ難易度は上がった。
幅広く地域や時代が設定されたり、網羅的にも出題されたりしており、東南アジア・アフリカ・ラテンアメリカ・中央アジアなどの周辺地域が積極的に出題された。設問レベルでは、時代を長いスパンでとらえつつ、地域横断的、同時代史的に歴史を見ていく力が要求されたことも難易度を上げた理由である。
地図問題が増加したが、教科書に掲載される基本地図であることから、今後とも教科書の図版や地図などをていねいに読み取り、理解を深めることが学習の基本となる。また世界の諸地域の出来事について問われる傾向があるので、それぞれの地域・時代の基本事項に関して確実に学習を積み重ねていくことを勧める。
(2)各大問ごとの分析
第1問
ユーラシア世界の歴史がテーマで、中国・インドはもとより、モンゴル・チベット・イスラーム世界・ロシアまで出題範囲は多岐にわたった。琉球王国の成立時期や義和団事件前後の流れなど、日本史と関係の深い事項の出題が見られ、中国史の流れに即して日本の出来事を並行して学習しておくとよい。柔然の強勢時期、マムルーク朝の成立時期、ソ連邦によるバルト3国の併合時期など、時代の前後関係を把握しておかないと解答しにくい問題もあるので、時代を概観できる年表を活用するとよい。
第2問
「島と群島の歴史」というちょっと意外な設定で、地図問題が多用された。問3のマダガスカル島、問5のスマトラ島のアチェに関する出題は世界史の知識だけでなく地理の知識も要求されている。欧米諸国による対外進出や領有に関する政治史の出題が多いが、それらも地理的な知識がないと解けない問題もある。
第3問
「歴史上の敗者や英雄の末路」をテーマにした問題で、世界史の興味や関心を持たせるテーマ設定といえる。問題は標準的な設問であり、リード文とさほど関係なく解ける。中国では古代から文化大革命に及ぶ制度史・文化史が出題され、ヨーロッパではハンニバルやナポレオンといったなじみのある人物が登場した。ラテンアメリカの20世紀史では戦後史まで含めて出題されるなど、詳細な知識も求められ、難易度が上がった。ラテンアメリカの学習は手薄になりがちなので、各国の出来事・人名などを正確に理解しておきたい。
第4問
「衣服にかかわる歴史」を扱ったテーマで、服飾規制、インドの手織り綿布、アメリカにおける綿花と奴隷制など、「世界史の窓」の主旨を反映した設問といえる。学習が手薄なアフリカ前近代からの出題である問4のジンバブエ遺跡はやや難となった。問5の中東(バグダード)条約機構が反米軍事同盟でないという判定は勘違いを誘う。
■問題正解
問題
【1】
【2】
【3】
【4】
【5】
【6】
【7】
【8】
【9】
【10】
正解
1
1
1
2
3
4
2
3
3
2
配点
3
3
3
3
2
3
3
3
2
3
問題
【11】
【12】
【13】
【14】
【15】
【16】
【17】
【18】
【19】
【20】
正解
3
4
3
3
2
3
2
1
2
3
配点
3
2
3
2
3
3
3
3
3
2
問題
【21】
【22】
【23】
【24】
【25】
【26】
【27】
【28】
【29】
【30】
正解
3
4
4
2
3
1
4
2
1
3
配点
3
3
3
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3
3
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3
2
3
問題
【31】
【32】
【33】
【34】
【35】
【36】
 
正解
4
2
3
1
3
3
配点
2
3
3
3
3
3