2005年度 センター試験【現代社会】解説
 
第1問
環境問題
→ 教科書p131,2行目「環境問題は,もはや一刻の猶予も許されない段階にきている。最近では,従来の技術的な対策に加えて,環境への負荷に応じて税金をかける炭素税や環境税などの経済的手段や,市街地での自動車の使用制限などのような直接的規制も各国ではじめられるようになった。・・・現在の世代だけの問題ではなく,異なる世代間の倫理の問題にもつながるのである。」

環境問題とは人類が経済活動を活発に行い発展させた結果,地球環境が破壊されたり汚染されたりすることをいう。自然はもともと復元する力を秘めているが,人間によるこのような活動がこの復元力をこえると,様々な問題が発生する。
生態系
→教科書p129の上の図

生態系というのは,ある地域で生活している全ての生物と,それを取り巻いている環境とを一つのまとまりとしてとらえたものをいう。
二酸化炭素排出量
→教科書p15,18行目「日本の二酸化炭素排出量のうち約20%は家庭から出されており,その約半分は自家用車の利用によるものといわれている。それぞれの家庭が,少しだけ自家用車の使いすぎ,冷暖房の使いすぎに注意するだけでも,大きな効果が期待されることは明らかであろう。 地球温暖化の影響は,長期にわたってじわじわあらわれるものと考えられている。…未来の人々が安心して暮らしていける社会を残していかなければならない。」

地球温暖化の原因のひとつとして挙げられている温室効果ガスの一つが二酸化炭素である。1997年に開かれた地球温暖化防止京都会議で議決された京都議定書によると,2008 年~2012年の間に,二酸化炭素を含む温室効果ガスを,1990年を基準年として,日本はマイナス6%、アメリカがマイナス7%、EUもマイナス8%削減するという数値目標を設定している。
地球環境問題
教科書p10 13行目「地球環境問題には,温暖化,オゾン層破壊,海洋汚染,酸性雨,砂漠化,熱帯雨林の減少,野生生物種の絶滅などがある。なかでも産業活動との関連性が深く,また,地球環境に対して最も深刻な影響を与えると考えられているのが地球温暖化である。」

地球規模の広域的な環境問題を地球環境問題と呼んでいる。公害であるとか,ゴミの問題等は,一国家の範囲内での問題である場合が多いが,地球環境問題は国境を越えた広範囲に及ぶ問題であるため,国際的なレベルでの対策が必要となる。先進工業国と発展途上国との主張が一致しない場合に,問題が複雑化する傾向がある。
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〔問1〕
オゾン層破壊
→教科書P.129 6行目 「環境問題では被害者である私たちが,同時に加害者にもなりうる点に一つの特徴がある。地球温暖化やオゾン層の破壊のように,その規模も,地球全体にわたるようになり,地球環境問題となってきたのである。」

オゾン層は,地上から10~50キロにあるオゾン濃度の高い層のことをいう。この層は生物に有害な紫外線を吸収するはたらきがある。しかし,近年,このオゾン層が電気冷蔵庫・クーラー・スプレーなどに使われているフロン(フルオロカーボン)の使用によって破壊されてしまい,人類に多大な影響を与えるという重大な問題が発生してきている。
酸性雨
→教科書P.10 13行目「現在心配されている地球環境問題には,温暖化,オゾン層破壊,海洋汚染,酸性雨,砂漠化,熱帯雨林の減少,野生生物種の絶滅などがある。」

雨は純粋な水ではなく,大気中に含まれている二酸化炭素などが自然にとけ込み,やや酸性になっている。ところが,近年の著しい工業化の進展により,大気中に二酸化硫黄や窒素酸化物が放出され,雨の酸性傾向が強まった。このため,人間をはじめとする動植物,建造物,歴史的遺産などに被害を与えるようになった。
地球温暖化
→教科書p11 3行目「太陽から地球にはいってくる熱のうち,一部は地面に吸収されるが,残りの部分は反射して,ふたたび地球のそとへ出ていこうとする。もし,これがすべて地球のそとへ出ていってしまったら,地球はおよそ生物の生存に適さない,極寒の惑星になっていたことだろう。しかし地球には大気があるため,二酸化炭素などの温室効果ガスが,地球外へ出ていこうとする熱の一部を吸収し,これを地表にもどしてくる。このようにして地球は,私たちが生きていくことのできる,温暖な気候を維持してきたのである。
ところが,工業化や自動車の普及にともない,石炭や石油などの化石燃料が大量にもやされるようになると,二酸化炭素の増加によって温室効果が強くなりすぎ,その結果,地球全体の平均気温が上昇しはじめた。これが地球温暖化といわれる現象である。100年間に約0.6度という平均気温の上昇幅は,過去1万年を調べてみても例がなく,自然現象にしては高すぎると考えられている。」

国際連合の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」がまとめた第三次評価報告書では,地球の平均地上気温は20世紀の間で約0.6℃上昇し,海面の平均水位が10~12㎝上昇したと報告されている。環境省も,これから百年の間に日本の気温が4~5℃上昇すると指摘している。(日経4946File 21号 4ページより作成)
砂漠化
→教科書p.254 19行目「耕地拡大が無理にすすめられると,地力の低下や,森林の過剰な伐採につながり,途上国の多くを苦しめている砂漠化をすすめることにもなる。」

砂漠化には,自然現象としての砂漠化と人間の行為がもとになっておこった砂漠化とがある。ここで問題になっているのは後者である。
温室効果
→教科書p.11 15行目「工業化や自動車の普及にともない,石炭や石油などの化石燃料が大量にもやされるようになると,二酸化炭素の増加によって温室効果が強くなりすぎ,その結果,地球全体の平均気温が上昇しはじめた。これが地球温暖化といわれる現象である。」

日本の環境省が年間排出量をつかんでいる物質として,二酸化炭素(CO2)、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄がある。
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〔問2〕
公害問題
→教科書p.129 5行目「環境問題と公害問題は無縁ではない。しかし,被害者と加害者が比較的はっきりとわかれる公害問題に対して,環境問題では被害者である私たちが,同時に加害者にもなりうる点に一つの特徴がある。地球温暖化やオゾン層の破壊のように,その規模も,地球全体にわたるようになり,地球環境問題となってきたのである。」

公害問題の代表的なものとしては,大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・悪臭・振動・地盤沈下などが挙げられる。
環境ホルモン
  →教科書p.128 注1「内分泌かく乱物質。環境中に存在し,生体にホルモンと類似の作用などを及ぼす化学物質の総称。生物体内に蓄積し生殖機能の低下をはじめとする生殖異常を引き起こす。今後の人類に及ぼす影響が深刻に憂慮される。」

もともとは,生体内に存在しない化学物質なのに,体内でホルモンと同じような作用を引き起こす物質のことを環境ホルモンと間に合わせで言ったことがはじまり。レイチェル・カーソンが『沈黙の春』で農薬の危険性を指摘している。
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〔問3〕
エコマーク
→教科書p.14

(財)日本環境協会が,環境負荷が少ないなど環境保全に役立つと認定した商品につけられたマーク。消費者が環境問題に関心を持ったり,商品選択の際の参考材料に役立ててもらうことを目的としている。
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〔問4〕
循環型社会
→教科書p.105 3行目「現代の企業には利潤追求以外に,さまざまな社会的役割が期待されている。たとえば,品質の安全性をはじめ,廃棄物の処理に対する責任,あるいはリサイクル運動をはじめとする資源循環型社会への取り組みも,企業の協力なしには成り立たない。」

循環型社会形成推進基本法によると,循環型社会とは「製品等が廃棄物等となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう。」
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〔問5〕
容器包装リサイクル法
教科書p.25 4行目「容器包装リサイクル法(1997年施行)では,ガラスびんやペットボトルなどの容器の分別収集と再商品化が義務づけられた。」

容器包装リサイクル法第4条では「事業者及び消費者は、繰り返し使用することが可能な容器包装の使用、容器包装の過剰な使用の抑制等の容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出を抑制するよう努めるとともに、分別基準適合物の再商品化をして得られた物又はこれを使用した物の使用等により容器包装廃棄物の分別収集、分別基準適合物の再商品化等を促進するよう努めなければならない。」と定められている。
家電リサイクル法
→教科書p.25 6行目「家電リサイクル法(2001年施行)によって,テレビ,冷蔵庫,洗濯機,エアコンの4つの製品についての回収と再資源化が,」

家電リサイクル法では,資源を有効活用することと,きれいな環境を守ることを目的に,「作った人」「売った人」「使った人」が協力して費用を負担することが定められている。この中で,「使った人」は,業者等への適正な引き渡しや収集・運搬・再商品化などにかかる費用を負担することが想定されている。
食品リサイクル法
→教科書p.25 8行目「食品リサイクル法(2001年施行)では,外食産業やスーパーなどに調理くずや食べ残しの再資源化が義務づけられた。」

正式名称は「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律」。背景として,食生活の多様化による消費者の多岐に及ぶ嗜好が大量の売れ残り商品を生みだしたことが挙げられる。外食産業全体に大きな影響を与えた法律である。
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〔問6〕
気候変動枠組み条約
→教科書P.12「1972年に国連人間環境会議がひらかれ,国際的な環境保全への第一歩が踏み出された。1992年の国連環境開発会議(地球サミット)では,温暖化対策の柱となる気候変動枠組条約が締結された。1997年,この条約の第3回締約国会議(COOP3)で,温室効果ガスの具体的な削減目標が定められた(京都議定書)。それによると,2008年から2012年のあいだに,日本は温室効果ガスを1990年の排出量の6%,アメリカは7%,EUは8%削減し,先進国全体で5.2%の削減をめざす。実行にはさまざまな困難が予想されるが,まずは経済大国の積極的な行動が期待される。」
 大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目的として,地球温暖化がもたらす環境破壊を防ぐためにつくられた国際ルール。温室効果ガスの排出量等を国別に計画することが義務づけられている。
温室効果ガス
→教科書p.12,10行目「1972年に国連人間環境会議がひらかれ,国際的な環境保全への第一歩が踏み出された。1992年の国連環境開発会議(地球サミット)では,温暖化対策の柱となる気候変動枠組条約が締結された。1997年,この条約の第3回締約国会議(COOP3)で,温室効果ガスの具体的な削減目標が定められた(京都議定書)。それによると,2008年から2012年のあいだに,日本は温室効果ガスを1990年の排出量の6%,アメリカは7%,EUは8%削減し,先進国全体で5.2%の削減をめざす。実行にはさまざまな困難が予想されるが,まずは経済大国の積極的な行動が期待される。」

地表から放出された赤外線の一部を吸収することによって温室効果を起こす気体の総称。具体的なものとして,二酸化炭素,フロン,メタン,亜酸化窒素(一酸化二窒素)などがある。
地球サミット
→教科書p.130 4行目「地球レベルでの環境問題をテーマとして,1992年,国連環境開発会議(地球サミット)がブラジルのリオデジャネイロで開催され,世界約180か国・地域の政府代表が参加した。さらにこの会議には約8000のNGO(非政府組織)も加わり,参加者は4万人をこえる大規模なものになった。
この会議では,環境保全と経済成長との両立をめざす「持続可能な発展」を基本理念として,これからの環境保護の指針となる「リオ宣言」が採択された。また,地球の温暖化を阻止し,長期的な気候の安定化をはかる気候変動枠組条約(地球温暖化防止条約)や生物多様性条約,森林・熱帯林の保全と開発に関する森林原則が出され,これらを実行に移すための行動計画として「アジェンダ21」が採択された。
しかし,この会議でも南北間をはじめとする各国の意見の対立が解消されたわけではない。発展途上国の急速な工業化による地球環境の悪化を危惧する先進工業国と,経済開発の権利を主張する発展途上国との矛盾はむしろ深まり,2002年の環境開発サミットでも大きな課題となった。」

1992年にブラジルで開かれた国連環境開発会議のこと。各国の政府代表とNGOが環境問題について話し合い,リオデジャネイロ宣言,気候変動枠組み条約,生物の多様性に関する条約,アジェンダ21などが採択されている。
国連人間環境会議
→教科書p.12 10行目「1972年に国連人間環境会議がひらかれ,国際的な環境保全への第一歩が踏み出された。」

1972年にストックホルムで開かれた会議。国際連合がはじめて本格的に環境問題について取り上げた会議だといわれている。環境問題は人類に対する脅威であり,国際的に取り組むべきだということを明らかにした。人間環境宣言を採択。この会議以降,毎年6月5日を「世界環境の日」とすることになった。
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〔問7〕
大量生産,大量消費,大量廃棄
→教科書p.22 1行目「大量に生産された商品は,私たちの生活のすみずみにまでいき渡り,さまざまな便益をもたらしている。私たちはどこにいても,すぐに自動販売機をみつけることができるから,のどがかわいたといって途方にくれる心配はない。日用品でたりないものが出てきても,近くのコンビニエンスストアでたいていの品物は手にはいる。日本に住む私たちは,じつは世界でもまれなほどの,おどろくべき消費生活をおくっているのである。
しかし,それだけ大量の商品を消費したあとには,かならず大量のごみが出てくる。大量生産・大量消費の社会は,同時に大量廃棄の社会でもある。このごみをめぐる状況が,現在深刻な問題になっている。私たちは,自分の目の前から消えたとたん,ごみのことを忘れがちである。しかし,ごみ問題は,市民の行動が最も強く影響する環境問題であり,ごみの再資源化が模索されるいま,これは新しい資源・エネルギー問題でもある。」

もともと大量生産方式は,製品を標準化して生産ラインに乗せて大量につくり出そうとしたヘンリー・フォードが開発した方式だといわれている。この方式では,そのラインをつくるために多額の投資が必要であり,大規模な生産量がなければ元が取れない。この方式のもと,在庫の問題を抱えながら大量消費,大量廃棄社会が到来するのである。
第2問
 
社会権的基本権
→教科書p.175 15行目「自由な経済活動を基本とする資本主義の発展は,同時に,人々のあいだに貧富の差をひろげ,貧困や失業に苦しむ経済的弱者を生み出した。このような現実に対し,すべての人が人間らしい生活を営むことができるよう国に対し積極的な施策を要求する権利を社会権といい,1919年のワイマール憲法にはじめてかかげられた。日本国憲法も社会権の考え方を取り入れて,生存権,教育を受ける権利,労働基本権の保障を規定している。」
これは20世紀的権利とも呼ばれることがあり,国家が国民の生活を積極的に保障することが重要であるという考え方が基本になっている。アメリカ独立宣言やフランス人権宣言の当時,基本的人権といえば「自由権」が中心であった。しかし,その後貧富の差が広がるにつれて,このような社会権的基本権が基本的人権の重要な構成要素となっていった。
小さな政府
教科書p.117 1行目「国債の大量発行は,のちの世代に負担をもたらし,歳出に占める国債費(国債の元金・利子の支払経費)の増大となって,財政を硬直化させる。そのため,1980年代には財政改革が大きな課題となり,「小さな政府」をめざす政策がすすめられた。1980年代後半には好況による税の自然増収もあり,1990年度から1993年度までは赤字国債の発行はゼロとなった。」

政府による市場への介入を最小限にして,個人一人ひとりの自己責任を重視する考え方に基づいた政府を小さな政府という。
フランス人権宣言
→教科書p.150 4行目「フランス人権宣言(「人および市民の権利宣言」1789年)は,自由・所有権・安全および圧制への抵抗を,自然権として宣言した。」

1789年8月26日,フランスの国民議会で採択された人間と市民の権利宣言のこと。自由・平等・博愛の精神が明記され,国民主権,基本的人権の尊重そして所有権の確立など近代市民社会の基本原理を確立した宣言である。資本主義的所有や生産関係に基づいた理念を表現しているという指摘もある。
参政権
→教科書p.151 10行目「民主政治のもとでは,基本的人権の一つとして国民に参政権を認めるのがふつうである。主権者である国民の意思を政治に反映させるため,国民に立法機関(議会)の構成員(国会議員),行政府のリーダー(大統領など)の選挙権・被選挙権を与えるのである。人権を尊重され,主権のにない手として自発的に政治に参加する人々を市民という。」

国民が政治に参加する権利をまとめて参政権と呼ぶ。基本的人権の一つであり,選挙権・被選挙権,直接民主制の様々な権利,請願権などが代表的なものとしてあげられる。
情報公開
→教科書p.178「行政の役割が大きくなったこんにち,政府や地方公共団体は,国民の生活に直接かかわる情報を大量に収集・管理している。それらの情報は,秘密扱いされて国民に知らされないこともある。そのために,国民が,政治や生活上の重要な情報を知ることができずに,権利を侵害されるといったこともおきてくる。そこで,政府や地方公共団体のもっている情報に対して,知る権利の主張が出てくるのである。この主張は,政府・行政機関のもっている情報を,請求に応じて公開する,情報公開制度の確立を求める運動として展開されてきた。現在では,多くの地方公共団体が情報公開条例を制定しているほか,国レベルでもようやく1999年に情報公開法が制定された。情報公開法は,国民主権の理念にもとづいて,中央省庁の行政文書の開示を請求する権利と,政府の「説明責任(アカウンタビリティ)」を定めているが,「知る権利」については明記されていない。」

公正で民主的な行政運営を実現するために,行政情報の公開が強く求められている中,平成11年に「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」が成立している。「知る権利」に関しては,世界人権宣言の第19条や,ドイツ連邦共和国基本法第5条にその規定がある。
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〔問1〕
社会福祉
→教科書p.140 11行目「社会福祉は,児童,高齢者,身体障害者,知的障害者などの福祉向上のために,手当を支給したり施設やサービスを提供する。」

日本国憲法第25条では「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定している。
社会保障
→教科書p.140 2行目「日本の社会保障制度は,日本国憲法第25条の生存権の思想を基本理念としてつくられており,社会保険,公的扶助,社会福祉,公衆衛生の4つがその中心となっている。」

国家が国民の抱える様々な生活上の問題から国民を保護し,守る制度を社会保障という。
公衆衛生
→教科書p.140 12行目「公衆衛生は,清掃,下水道などの環境整備,伝染病などの予防衛生によって,国民の健康の維持・増進をはかることを目的としている。」

公衆衛生に関する最近の例としては,BSE,SARS(サーズ),鳥インフルエンザの問題等を挙げることができる。
ワイマール憲法
→教科書p.150 13行目「ドイツのワイマール憲法(1919年)は社会権をはじめて明文化したものである。社会権は,自由放任主義では保障されず,国家が企業活動や労使関係に介入し,公的な社会保障や福祉制度を設けるなど,積極的な役割をはたしてはじめて実現される。」

ワイマール憲法が保障した権利としては,制限付きのものも含めて,生存権,労働者の権利,経済活動の自由,財産権などが挙げられる。
労働基本権
→教科書p.132 10行目「戦後,日本国憲法によって,労働者の団結権,団体交渉権,団体行動権(争議権)のいわゆる労働三権が保障されるようになった。これら三権を労働基本権といい,労働権(勤労権)とあわせて労働者の経済的地位の向上と民主化に大きな役割をはたしてきた。」

ワイマール憲法が制定されたのと同じ年に,国際労働機関(ILO)が誕生した。同機関が定めた憲章の全文には,「いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となる」と書かれている。賃金労働者に対する基本的な権利が注目されはじめた時代である。
生存権
→教科書p.176 4行目「憲法第25条は,すべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障する。そして,国に対し,生存権を実現するための社会保障施策を積極的に推進すべきことを義務づけている。」

生存権は,20世紀に入り失業や貧富の差など資本主義の矛盾といわれるものが明らかになったことから出現してきた。これ以降,国家による積極的な福祉政策が求められ,市民も国家に対して様々な施策を要求するようになった。
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〔問2〕
基本的人権の保障
→教科書p.150 1行目「人権の思想は市民革命によって,法や政治制度のうえに具体化された。アメリカ独立宣言(1776年)は,生命・自由および幸福追求を天賦(天から与えられた)の人権とし,フランス人権宣言(「人および市民の権利宣言」1789年)は,自由・所有権・安全および圧制への抵抗を,自然権として宣言した。」

人間が生まれながらにして持っている権利。1948年には世界人権宣言が,1966年には国際人権規約が採択された。日本国憲法の三大原則の一つである。一般的に基本的人権としては,自由権,平等権,社会権,参政権,請願権,請求権,新しい人権と呼ばれるものなどが挙げられる。
権力分立
→教科書p.153 6行目「国民主権の原則がとられても,権力が特定の機関に集中される場合は,国民の手を離れて濫用されやすい。
こうした弊害をふせぐため,権力をその性質に応じて区別し,ことなる機関に帰属させる権力分立の考え方が生まれた。ロックは,立法権と執行権を分離し,立法権優位の制度をとることを提案し,モンテスキューは,国家の権力を,法をつくる立法権,法にもとづいて政治をおこなう執行権,法によって紛争を裁く裁判権の3つにわけることを提案した。3つの権力をおたがいに抑制しあい均衡した状態(チェック-アンド-バランス)におくことで,権力の集中と濫用をふせごうとしたのである。このようなしくみを,権力分立という。」

17世紀半ば,イギリスのジョン・ロックが発表した『市民政府二論』やフランスのモンテスキューによる『法の精神』が権力分立を主張した。
市民革命
→教科書p151「市民革命によって生まれた近代国家では,一般に憲法で国民主権の原則が宣言され,政治権力を国民の意思にもとづいて組織・運用する制度が採用された。基本的人権の尊重と国民主権という2つの原理にもとづいておこなわれる政治は,やがてひろい意味で民主政治ないし民主主義と呼ばれるようになった。」

ここでいう市民とは,ブルジョワジーという当時の裕福な人々のことをいう。市民革命の具体的なものとして,イギリスのピューリタン革命,名誉革命,アメリカの独立革命,フランス革命などが挙げられる。
制限選挙制
→教科書p192 19行目「近代の民主政治がはじまったころは,どの国でも身分・財産(納税額)・性別などによって選挙権・被選挙権を制限した制限選挙制や,選挙人を等級にわけ,一票の価値に差をもたせた等級選挙制がおこなわれていた。これは身分や財産のある成人男性だけが,政治についての見識や責任感をもっているので,彼らの意見を政治に代表させる選挙制度が正しいと考えられたからである。」

市民革命をとおして,農民の参政権は拡大した。例えば,フランス革命の三部会の動きを歴史的に見ると,1789年前後で農民が国政に参加していくといった変化を理解することができる。
社会契約説
→教科書p148 17行目「中世以前の社会では,多くの人々が奴隷・農奴として人格を認められていなかった。17~18世紀のヨーロッパでは,君主の権威は神から授けられたもので,人民はこれに従うのが当然だとする王権神授説にささえられ,国王は絶対的な権力をふるっていた。やがて,こうした非人間的な隷属状態を不当なものだとする人権の思想が生まれ,イギリスのロックやフランスのルソーは,王権神授説を批判した。彼らによれば,人間は社会をつくる以前の自然状態において,自由や平等など,神から与えられた権利(自然権)をもっており,この自然権がおかされないようにするために,おたがいに契約を結んで社会をつくり,国家をつくったのだという(社会契約説)。」

このような説が成立する前提として,「自然状態」という考え方を知る必要がある。ホッブズは,人間を自然状態においたら「万人の万人に対する闘争」状態となり,常に死の恐怖を感じざるを得ないと解釈した。そこで「契約」という概念が必要になってくるのである。
社会主義
→教科書p.155 13行目「社会主義国では,生産手段の社会的所有を基礎に民主的権力集中制が採用されたが,共産党が指導政党とされ,複数政党による選挙での競争や権力分立は認められなかった。しかし,東欧諸国や旧ソ連では,1989年以来の改革によって,共産党一党支配をくつがえし,言論の自由,複数政党制,権力分立制にもとづく新しい体制への転換がすすめられた。1991年のソ連消滅後,現在存続している代表的な社会主義国は,中国である。」

生産手段を社会全体で共有するという社会制度のこと。経済的不平等の克服を主な目的としており,ここでの選択肢のように市民革命の重要な背景としては挙げることは適切ではない。
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〔問3〕
平等の原則
→教科書p.193 5行目「こんにちでは国民の意見をひろく平等に政治に反映させることが選挙制度の原則だと考えられ,一定の年齢に達した国民に参政権を認める普通選挙制がとられるとともに,投票の価値に差を設けない平等選挙」

選挙制度の基本原則は次の3つ。(1) 選挙平等の原則(すべての国民が平等に選挙を行うことができる) (2) 投票自由の原則(すべての選挙人が、自分自身の判断で、最も信頼がおけると思う人に自由に投票すること) (3) 選挙公正の原則(期間や費用の制限、特定の者の選挙運動の禁止など、選挙の公正を確保する)
投票内容の秘密
→教科書p.193 8行目「個人の投票の自由を保障するため投票の秘密を守る秘密選挙などの原則が確立されている。」

選挙制度の基本原則の一つで,投票の自由に関するもの。日本国憲法第15条では「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」と定めている。
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〔問4〕
情報公開法
→教科書p.179 図説「情報公開法のしくみ」
→教科書p.178 15行目 「現在では,多くの地方公共団体が情報公開条例を制定しているほか,国レベルでもようやく1999年に情報公開法が制定された。情報公開法は,国民主権の理念にもとづいて,中央省庁の行政文書の開示を請求する権利と,政府の「説明責任(アカウンタビリティ)」を定めているが,「知る権利」については明記されていない。」

情報公開法の第3条では「何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。」と定めている。これは,政府の様々な活動を国民に説明するためのルールである。ただし,行政機関が対象のため,国会と裁判所は除かれている。
第3問
 
青年期
→教科書p.82 1行目「人の一生はおよそ80年である。その生涯は,乳児期からはじまって,しだいに成長をとげて,老年期に及ぶ。このライフサイクルの過程において,青年期は特別の意味をもつ。近代フランスの思想家ルソーは,「われわれはいわば2回生まれる。1回目はこの世に存在するために,2回目は生きるために」と書いている。青年期はまさにこの「第二の誕生」の時期であり,みずからの人生を主体的に選びとる時期である。人は12~13歳になるとそれまでの児童とはちがう心理傾向をもちはじめる。この心理傾向は成人のそれとも異なるものである。青年はもはや子どもではないと同時に,いまだおとなでもない。こうした状態を境界人(マージナルマン)という。青年期は子ども集団とおとな集団のいずれにも所属しないことから,心理的に不安定な状態におかれ,自立心と反抗心が芽ばえる半面,自分の判断に自信がなく,劣等感に悩まされることもある。こうしたことから青年期は,さまざまな心理(葛藤)にとらわれる時期であるが,それはみずからの個性を形成するための生まれいずる苦しみの時期でもあるといえる。」

青年期の特色としては,「第2の誕生」という考え方,そして「境界人」という概念が挙げられる。また,青年期の主な発達課題としては,アイデンティティ確立と集団社会での行動様式の獲得などがある。
 
欲求不満
→教科書p.84 8行目「人間の行動の原動力となる欲求は,いつも満たされるとはかぎらない。欲求が満たされないとき,欲求不満(フラストレーション)におちいるとともに,それを解消しようとしてさまざまな適応行動をとる。こうした欲求不満と適応行動のくりかえしのなかから,その人に固有の一定の行動パターンが形成されるようになる。この行動パターンは,自分以外の誰ともとりちがえられることがないものとして,その人の自己を形づくるものである。青年期になるとこうして形成された自己を対象化し,そのあり方について自問自答するようになる。現実の自分と,みずから理想とする自分や周囲の人々が期待している自分とのあいだに,大きな落差を感じるようになる。青年期はこの落差をまえにして,本当の自分をさがし求め,自己の確立をめざす時期である」

欲求には,睡眠や食欲などのような本能的なものや,地位や名誉など社会的なもの,所有欲など様々なものがある。
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〔問1〕
モラトリアム
→教科書p.83 1行目「青年期はおとなになるための見習い期間であり,社会の側からおとなとしての責任や義務が免除されている時期である。アメリカの心理学者エリクソンは,青年期のこの特徴をとらえて,「心理社会的モラトリアム」と名づけた。モラトリアムとは猶予期間のことである。また日本の心理学者小此木啓吾は,1960年以降の青年の心理的特徴を「新しいモラトリアム心理」と呼んだ。新しいモラトリアム心理では,かつての青年がいだいた半人前意識,禁欲と自立の強い願望,歴史や社会への関心といった古典的モラトリアム心理の特徴にかわり,現状に対する自己満足,欲望の解放としらけ気分,私生活へのこだわりといった特徴が強くなっている。こうした心理傾向は青年期の延長で一種の社会的性格にまでなっていると考えられている。」

ピーターパン・シンドロームとしても有名。ここでいうピーターパンとは,おとなになりきれない,言いかえるとおとなとしてのアイデンティティが確立できない若者のことを指している。
境界人
→教科書p.82 10行目「青年はもはや子どもではないと同時に,いまだおとなでもない。こうした状態を境界人(マージナルマン)という。青年期は子ども集団とおとな集団のいずれにも所属しないことから,心理的に不安定な状態におかれ,自立心と反抗心が芽ばえる半面,自分の判断に自信がなく,劣等感に悩まされることもある。こうしたことから青年期は,さまざまな心理(葛藤)にとらわれる時期であるが,それはみずからの個性を形成するための生まれいずる苦しみの時期でもあるといえる。」

青年期のとらえ方の問題。フランスのルソーは「第二の誕生」,ドイツのレヴィンは「境界人」,アメリカのエリクソンは「モラトリアム」というキーワードで説明した。
〔問3〕
大衆社会
→教科書p.69 15行目「マスコミの影響は大きく,どのような立場で報道がおこなわれるかで,世論が大きくかわるようになった。新聞社が選挙前におこなう情報分析は,有権者の投票行動に影響を与えることがある。またテレビは人々の感情に訴えることが多い。政治家やタレントについてのゴシップが,マスコミをにぎわしているのをよく見かけるが,現代の社会は,かつて人々が理想としていた理性と知性を重くみる自立した個人がつくる社会ではなく,感情とマスコミに動かれされやすい大衆社会になりはじめた。」
大衆社会成立の背景として,大量生産・大量消費社会の到来により,中流意識を持つ労働者層の拡大,それに伴う人口の都市部への移動,マスメディアによる画一的な情報提供の実現,昔のいわゆる共同体社会の崩壊,官僚制と呼ばれる管理体制などを総合的に考慮する必要がある。
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〔問4〕
ボランティア
教科書p.62 1行目「ボランティア活動とは,一般的に,“社会をよくしていくために,自分の技能と時間を自主的に無報酬で提供する活動”をさしています。つまり,あくまでも自主的,自発的であること,連帯性,社会性があること,無償で利益を求めないこと,などがボランティア活動のたいせつなポイントとなっています。」 

ボランティア活動とは次の3つの条件を全て含んだ活動をさしていう。まず第一に,自主的な行動であること。第二に,非営利活動であること。第三に社会に貢献する活動であること。つまり,他から強制された活動であったり,罰としての奉仕活動であったり,営利を目的とした活動はボランティア活動とはいえない。
第4問
 
バブル経済
→教科書p.110 4行目「1980年代後半に,低金利のもとであまり気味になった資金が,株や土地の購入資金に回されて,株価や地価が異常に高騰しはじめた。そうしたなかで,経済は投機的性格を強めながら成長した(バブル経済)。」

バブル経済というのは中身がともなわない,投機などによって支えられた経済活動で,近代になって見られるようになった現象である。これは日本だけに見られた現象ではなく,世界各地で起こっている。
     17世紀  オランダでのチューリップバブル
     18世紀  イギリスの南海会社バブル事件
20世紀初 アメリカで「暗黒の木曜日」前までの投機ブーム
           (この後,世界大恐慌がおこる)
そして  問題文中にある日本の株,土地などへの投機によるバブル
融資を渋りがち
→教科書p.110 14行目「1990年代後半には,金融機関の不良債権処理をすすめるために超低金利政策がとられる一方,預金保険機構を通じて大量の公的資金が金融機関に投入された。これらの政策によって,金融機関の経営は最悪の状態を脱した。しかし,超低金利政策の結果,預金者の利子所得は大幅にへり,また,金融機関が自己資本比率を維持するため,融資の求めに応じない「貸し渋り」現象も発生した。この「貸し渋り」によって中小企業の資金繰りが困難となり,経営を圧迫して,景気回復をおくらせる要因ともなっている。」

自己資本比率が高ければ,その銀行の経営体力は高いといえる。自己資本を分子に,貸し付けなどの資産を分母にする比率であらわす。不良債権の増加などによって銀行の自己資本が減少すると,この比率も低下することになる。ということは,この比率を維持するためには,自己資本(分子)を高くするか,それとも貸し出し(分母)を減らすかのどちらかを選択することになる。銀行としては,後者を選択する方が,自己資本比率上昇の可能性が高い。これが貸し渋り現象がおこった背景となる。
日本の農家や中小企業
→教科書p.123 18行目「経済成長のなかで,近代化の波におくれた分野があった。中小企業と農業である。中小企業は,日本全体の雇用の約7割,生産額の約5割,輸出額の約4割を占めている。その意味で,日本経済の最も重要な柱といってもよい。しかし,賃金,労働時間,休暇などの労働条件や福利厚生などの面で,大企業とのあいだにかなりの格差がある。
中小企業は,大企業の下請けとなって,人的,技術的,資本的に密接な関連をもって行動することが多い。そのため景気変動のしわ寄せを受けて,大企業から製造原価の引き下げを求められたり,発注量をへらされたり,不安定な立場にある。しかし同時に,下請けの関係にあるために,継続的な注文を受けることができたり,技術や資金の援助を受けることができるなどの利点もある。このことが,高い生産性と製品の品質のよさにもつながってきた。」
注1 中小企業…中小企業基本法では,製造業では常時雇用者300人以下または資本金3億円以下,サービス業では100人以下または5000万円以下,卸売業では100人以下または1億円以下,小売業では50人以下または5000万円以下の企業を中小企業という。

国際分業
→教科書p.251 9行目「国際分業と産業空洞化…日本が直面しているもう一つの大きな問題に産業空洞化がある。東アジア経済の発展と,プラザ合意以後の円高にうながされて,日本の企業は集積回路,パソコンといった先端技術工業の工場を賃金の低いアジア諸国に移し,国際的な産業内分業をすすめた。食品加工や部品製造分野にも同じ傾向がみられ,その結果,日本国内の産業基盤が弱まる産業空洞化が懸念されている。
日本経済とアジア経済の関係が深まるに従い,それぞれの景気状態がそれぞれの経済に,より直接的な,影響を及ぼすようになる。私たちは,日本の経済状態や経済政策が,東アジアの人々の生活にどのような影響を及ぼしているか,機会あるごとに考えていく必要があるだろう。」
技術革新
→教科書p.101 14行目「市場で企業どうしが競争し合っている場合には,商品の価格は,それを生産するのに必要な費用がさがるにつれてさがる。たとえば,ある企業がいままでよりもすすんだ技術を取り入れて,他の企業よりも安い費用で生産できるようになったとしよう。この企業はいままでよりも多くの利潤をえることができる。しかし,そのすすんだ技術がしだいに他の企業にも取り入れられるようになれば,企業どうしで価格引き下げ競争がすすみ,それにつれてやがて利潤もへっていく。企業がより多くの利潤をえようとして技術革新がすすみ,そのことによって,社会全体で効率的な生産が実現し,生産性が上昇していくのである。
しかし,独占(寡占)市場のように企業どうしが競争的でなく,協調的に行動して価格が設定されるような場合には,技術革新によって生産費用がさがっても商品の価格はさがらないことが多い。その場合には,技術革新による恩恵が,利潤の増大にはなっても,価格低下によって社会全体には及ばないことになる。」

長期的な景気循環の原因を説明する一つの要因として技術革新が挙げられている。これは,オーストリアの経済学者シュンペーターの基本的な概念である。
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〔問1〕
農畜産物輸入の自由化
→教科書p125 11行目「海外からは農産物の輸入自由化が求められてきた。」

「我が国は世界最大の農産物純輸入国であるが、輸入先は特定の国にかたよっており、それらの国における作柄や作付けの変動等の影響を受けやすい食料需給構造。」
(『平成15年度食料・農業・農村の動向に関する年次報告』p88より)
とあり,日本は全ての農産物輸入を拒絶しているわけではない。問題になっているのは,一部の農産物である。
APEC(アジア太平洋経済協力会議)
→教科書p.244 9行目「1989年にオーストラリアの提唱ではじまったアジア太平洋経済協力会議(APEC)には,アメリカ,日本,韓国,中国,ASEAN諸国,ロシアなど21か国が加盟し,ひろい範囲の経済協力関係をめざしている。これらの多くは,自由貿易協定(FTA)をめざしている。」

APECは,その加盟国・地域の経済格差が大きいため,相互の関係を深めることが目的でつくられた会議である。ここでは法的に加盟する構成員を拘束していない。
牛肉とオレンジの輸入自由化
→教科書p.125 12行目「牛肉とオレンジにつづいて,米の自由化が求められ」

1988年に日米牛肉・オレンジ交渉決着。牛肉・オレンジは3年後、オレンジ果汁は4年後に自由化されることとなった。
コメの輸入自由化
→教科書p.125 13行目「GATTウルグアイラウンドの交渉の結果,わが国は1993年に米の部分的な市場開放を受けいれた。」
1993年の日本は,記録的な冷夏によりコメが大量に不足した。日本はコメを緊急輸入し,マーケットを混乱させる中,市場開放への道を進むことになった。
サミット(主要国首脳会議)
→教科書p.250 8行目「先進国は主要先進国首脳会議(サミット)で通貨問題,通商問題のほか,開発援助や環境問題を含めた世界経済全般の問題を話し合う。」

一年に一回,アメリカ,イギリス,フランス,イタリア,カナダ,ドイツ,日本,ロシアの首脳が集まり,国際的な問題について話し合う会議のこと。
日米包括経済協議
→教科書p.250 20行目「1989年,日米構造協議がひらかれ,両国の経済構造全般について議論がかわされた。この協議は1993年,日米包括経済協議へ発展し,現在も断続的につづけられている。」

1993年に開始された,日米構造協議を発展的に引き継ぐ両国間の経済問題に関する協議。
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〔問2〕
湾岸戦争
→教科書p.227 1行目「イラクのクウェート侵攻から生じた湾岸戦争(1991年)で,国連は非難決議を採択し,多国籍軍に制裁措置をとることを認めてイラク軍の撤退をもたらした。」

1990年8月2日にイラクがクウェートに侵攻したのをきっかけに,アメリカを中心とした多国籍軍が1991年1月17日にイラクを空爆したことによってはじまる戦争。
消費税
→教科書p.115 22行目「これまでの日本の税制は,直接税の割合が高かった。しかし,所得税のような直接税は,業種によっては所得額を正確に把握することがむずかしく,また景気変動によって税収が左右されやすいという問題がある。
これに対して,消費税は,原則としてすべての財とサービスに一律に5%の課税をする。消費支出にひろくうすく課税し,安定した財源を確保することをめざすものであった。」

日本における消費税法施行は1989年。一方,湾岸戦争は1991年勃発。
リストラ(事業の再構築)
→教科書p.122 18行目「1990年代にはいると,株価や地価が暴落してバブル経済が崩壊し,日本経済は長い不況に落ち込んだ。金融機関のなかには,多額の不良債権をかかえて経営が破綻するところもあらわれた。また,過剰な生産設備をかかえる企業は,経営の再構築(リストラクチャリング)の名のもとに人員を大幅に削減し,2000年には失業率が約5%にまで上昇し,1953年に統計をとりはじめて以来,最悪の記録となった。」

企業は事業を再構築するという名目で社員や設備等を大幅に削減し,経営の立て直しをはかっている。
〔問3〕
農業経営
→教科書p.125 18行目「1999年には食料・農業・農村基本法(新農業基本法)が制定され,食糧自給率を高めると同時に,企業の農業経営への参入を認めるなど,市場メカニズムを活用して農業の活性化をはかる方向が示された。」

食料・農業・農村基本法第22条では「国は、専ら農業を営む者その他経営意欲のある農業者が創意工夫を生かした農業経営を展開できるようにすることが重要であることにかんがみ、経営管理の合理化その他の経営の発展及びその円滑な継承に資する条件を整備し、家族農業経営の活性化を図るとともに、農業経営の法人化を推進するために必要な施策を講ずるものとする。」と定めている。
外国人労働者
→教科書p.134 11行目「パートタイマーやアルバイトなどの非正規労働者の増加と同時に,外国人労働者が注目されるようになった。自国に比べてはるかに賃金の高い日本ではたらく外国人労働者が,アジアやラテンアメリカ諸国から多数おとずれるようになった。一方,日本の企業にとっては賃金コストがひじょうに安いということもあって,これまで多くの外国人労働者を受けいれてきた。しかしその実態は,3K(きつい,汚い,危険)と呼ばれる労働条件の悪い分野での単純労働が多く,賃金の未払いや差別的な待遇など外国人労働者の人権をめぐる問題が生じており,その解決が課題になっている。また,法的には認められていない不法就労者がかなりの数にのぼっている。」

日本では外国人の単純労働者を原則として認めていない。その理由としては高齢者などの雇用機会の確保などが挙げられている。少子高齢化が進む中,今後ますます外国人労働者の受け入れが注目されると考えられる。
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〔問4〕
ファインセラミックス

高純度の原料からつくられる高性能のセラミックス製品のこと。熱や摩耗に強い。
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第5問
失われた10年
→教科書p.122 18行目「1990年代にはいると,株価や地価が暴落してバブル経済が崩壊し,日本経済は長い不況に落ち込んだ。」

バブル経済崩壊後,1990年代の日本経済の長い低迷状態のこと。
財政政策
→教科書p.114 1行目「政府は,不況のときには減税や公債の発行によって公共事業をふやすなど,景気の調整をおこなう。また,景気が過熱ぎみのときには,増税したり財政支出をへらしたりして経済を安定させる。このような財政操作による景気の調整を財政政策(フィスカルポリシー)と呼ぶ。」

景気を調整するために,政府が民間経済にどのように介入するのか(または介入しない方がいいのか)を状況に応じて判断し,実行するのが財政政策。
一般会計
→教科書p.114 欄外 
一般会計の歳入・歳出

国や地方公共団体が,教育や福祉など多くの市民対象に行われる事業に関わる歳入・歳出の会計のことを一般会計とよんでいる。
〔問2〕
国 債
→教科書p.116 7行目「政府が予算を組むにあたって,租税だけで歳入をまかなうことができない場合に,国債を発行する。国債は政府の借金であり,いずれは元金と利子の支払いが必要となる。安易な国債発行はこれまでにも財政危機をまねいたり,インフレーションを引き起こしたりしたために,第二次世界大戦後,法律できびしい制約が課せられた。」

建設国債は平成16年度当初の6兆5千億円から平成17年度当初の6兆1千億円に,特例国債も平成16年度当初の30兆円から平成17年度当初の28兆円に発行が抑制されている。
文教科学振興費

国の予算の一般歳出の一項目。一般歳出と文教関係費の推移は次のとおり。

(単位 億円,%)
一般歳出(x) 文教関係費(y) (y)/(x)
1955 8,107 1,173 14.5
1960 12,588 1,803 14.3
1965 29,418 4,288 14.6
1970 59,960 8,116 13.5
1975 158,408 23,139 14.6
1980 307,332 41,729 13.6
1985 325,854 44,594 13.7
1990 353,731 46,374 13.1
1995 421,417 53,921 12.8
2000 480,914 55,039 11.4
2004 476,320 48,489 10.2
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〔問3〕
日本は…スウェーデンを上回る世界でも有数の高齢社会となった。

『平成16年版 高齢社会白書』によると,
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2004/zenbun/html/G1152000.html
となっている。
高齢化問題は…登場国においても近年問題とされており…

国際連合でも発展途上国の高齢化問題が話題になっている。
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第6問
日本の安全保障
→教科書p.167 24行目「日本の安全保障という点だけにかぎってみても,日本のおかれている現実を直視するならば,日本国憲法の平和主義は決してたんなる理想論ではない,ということが理解されるはずである。とくに,せまい国土に人口が密集し,政治や経済の中枢が東京に集中している,という日本の地理的条件は,軍事的な観点からは,攻撃目標をしぼりやすいという意味で,大きな弱点である。また,日本は,食糧やエネルギーの大半を輸入にたよっているから,諸外国との友好関係を維持していかなければ,国民生活は成り立たない。こうした実情を考えると,軍事力によって日本の安全を確保するという考え方のほうが,むしろ現実性に乏しいとさえいえるのである。」

ここでは,自衛権の問題と集団安全保障が主な論点になっている。
平和主義
→教科書p.161 11行目「平和主義は,過去の侵略戦争の反省のうえにたった,日本国民の平和への念願と決意の表明である。それを具体化するものとして,第9条が,戦争の放棄と戦力の不保持,交戦権の否認を定めているのである。」

日本国憲法第9条「(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(2) 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
日本の防衛費
→教科書p.163 欄外
おもな国の軍事費とわが国の防衛費

国防費の比較に関して国際的に統一された定義はなく,経済体制や物価水準などの違いもあるので,ここでは日本の防衛費は「世界でもトップクラス」という表現になっている。
自衛隊
→教科書p.165 1行目「日米安保条約による米軍の駐留と,警察予備隊にはじまり,こんにちの自衛隊にいたる日本じしんの軍事力の増強は,戦争放棄・戦力の不保持を定める第9条との関係で,はげしい論争の的となってきた。裁判で争われた例も少なくないが,最高裁判所が合憲・違憲について確定的な判断をしたことは,まだない。」

自衛隊法第3条では「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」とその任務を定めている。
日米安保条約
→教科書p.164 10行目「日米安保条約は,1960年に,はげしい「安保反対闘争」をおし切って,全面的に改定された。新安保条約(日米相互協力及び安全保障条約)は,アメリカ軍の日本駐留を定める点では旧条約と同じであるが,日本の防衛力増強義務をいっそうはっきりと明記した。そして,日本の領域内で日米のいずれかが攻撃を受けたときには両国が共同行動をとることを定めて,日米の軍事上の同盟関係を明確にしている。この新しい日米安保体制のもとで,自衛隊は,数次にわたる防衛力整備計画などによって,量的にも質的にも増強されてきた。日本の自衛隊は,いまでは,世界の軍事費比較でみると,アメリカにつぐ規模にまで成長してきているのである。」

日米安全保障条約は,1951年にサンフランシスコ講和条約調印と同時に日米間で締結された。米軍の日本駐留なども定められている。1960年に改定され,日米の事前協議や相互協力などが追加された。
集団的自衛権

ある国が武力による攻撃を受けた場合,この国と深い関係にある他国が共に防衛にあたるという権利のことで,国連憲章第51条に「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」と定められている。
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〔問1〕
思いやり予算

日本が在日米軍の駐留経費の一部を負担するために配分された予算のことを思いやり予算とよんでいる。
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〔問2〕
非核三原則
→教科書p.167 8行目「核兵器を「もたず,つくらず,もち込ませず」とする非核3原則は,1967,68年ころに政府が表明したもので,1971年には沖縄返還に関連して衆議院本会議の決議で確認された。核兵器の製造・保持については,日本が1976年に核不拡散条約(NPT)に加入したことで,国際法的にもできないことになっている。
ただ,この非核3原則も,現実には,米軍による核もち込みの疑惑がしばしば取りざたされ,「もち込ませず」に関しては完全に守られているかどうか疑わしいとする指摘もある。平和主義をかかげる憲法をもつ国として,そして唯一の被爆国として,非核3原則を堅持し,さらには,全世界の核廃絶にむけて努力することが求められよう。」

日本政府が1967年の衆議院予算委員会で示した原則。法律ではないが歴代の内閣は遵守している。昭和46年に衆議院決議が,昭和57年に参議院決議がなされている。
安全保障会議
→教科書p.165 16行目「国防についての重要事項は,いわゆる制服組(自衛隊幹部)の加わらない安全保障会議が決定することになっているなど,文民統制のしくみは一応ととのえられている。」

国防に関する重要事項や緊急事態への対処について審議する内閣の機関。1986年に国防会議を継承してつくられた。議長は内閣総理大臣。
〔問3〕
国連平和維持活動協力法(PKO協力法)
→教科書p.166 15行目「1992年には,PKO(国連平和維持活動)協力法が制定され,カンボジアPKOなどに自衛隊が派遣された。」

自衛隊の主な海外派遣実績はつぎのとおり。
1992 カンボジアPKO
1993 モザンビークPKO
1994 ルワンダ難民救援
1996 ゴラン高原PKO
1998 ホンジュラス国際緊急援助活動
1999 トルコ国際緊急援助活動
1999 東ティモール避難民救援
2001 インド国際緊急援助活動
2001 アフガニスタン難民救援
2001 テロ特措法インド洋派遣
2002 東ティモールPKO
2003 イラク難民救援
第7問
地域通貨

地域通貨というのは,ある特定の地域やグループの中で時間や点数,独自の券などに置きかえて,法定貨幣と同じ価値があるものとして使われる貨幣のことをいう。
法定通貨

中央銀行が発行し,全国で使用できる通貨。
NPO(民間非営利組織)
→教科書p.33 1行目「1998年,特定非営利活動促進法(NPO法)が成立した。これは,福祉,保健,まちづくり,社会教育などの分野で,営利を目的とせず,公益の実現をめざして活動する団体(NPO)に法人格を認めることによって,その活動を支援することを目的とした法律である。」

政府や地方自治体などの公共非営利部門を第一セクター,企業などの民間営利部門を第二セクター,NPOなどの民間非営利部門を第三セクターと分類する方法がある。
〔問1〕
印 紙

手数料や税金等を納めたことを照明するために書類などに貼り付ける切手のような紙片のことを印紙という。
〔問3〕
ノーマライゼーション
→教科書p.61 13行目「日本でも高齢社会へむけてさまざまな取り組みがはじめられている。しかし,施設や制度とは,高齢者や障害をもつ人々を,そのなかにとどめおくためのものではない。これらの援助を通して,高齢者や障害をもつ人々ができるかぎり身体的な,あるいは経済的な制約を克服して,健常者と同じ生活空間を共有できるようにすることが,現代社会のあり方として求められているのである。このような考え方をノーマライゼーションという。」

高齢者や障害者は,施設などによって隔離されることなく,健常者と共に助け合いながら生活するべきだという考え方のことをノーマライゼーションという。
国民年金
1959年,国民年金法により設けられた。この法律の第1条には「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項 に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」と定められている。1992年より,原則として20歳以上の国民は強制加入を義務づけられるようになった。
在宅サービス
→教科書p.61
在宅サービスの利用例 厚生省「厚生白書」2000年版による。

在宅で日常生活全般に関して介護や家事の援助などを行う活動が盛んになっている。
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〔問4〕
IT(情報技術)
→教科書p.74 15行目「コンピュータと通信ネットワークに関する技術をIT(情報通信技術)と呼ぶ。」

日本では,高速インターネットが普及し,ブロードバンドによる常時接続環境が整い,平成12年にはIT基本法も成立して世界最高水準のネットワーク環境づくりがすすめられている。
テクノポリス計画

先端技術を中心にした産・学・住一体となったまちづくりを推進したテクノポリス法にもとづいた計画をテクノポリス計画という。
リゾート法

1987年に制定された総合保養地域整備法のこと。長期滞在型のリゾート地域づくりを推し進めるための法律。自然破壊を防止するための法律ではない。
Uターン現象

進学(または就職)する際に,自分の出身地を離れて都市に行った人が,もう一度出身地に就職先をさがして戻ってくる現象のことをUターン現象とよんでいる。
第8問
〔問1〕
国連開発計画(UNDP)
→教科書p.157 10行目「国連開発計画(UNDP)は,1990年以来毎年出している『人間開発報告書』の1994年版で,「人間の安全保障」という概念をうち出した。それは,世界中のすべての人一人ひとりの生活の「安全」を保障することを目的とする,新しい「安全保障」の考え方である。」

国連開発計画は,1965年の国連総会で設立が決まり,1966年1月1日に発足した国連総会の下部組織。発展途上国の技術協力のための計画や資金供給のための計画・管理などを行っている。
人間開発指数(HDI)

ある国が,どのくらい開発されているのかを測る尺度の一つ。指数化する要素としては,国民ひとりあたりの国内総生産(GDP),成人識字率,平均寿命,就学率などがある。
難民条約
→教科書p.231 8行目「第二次世界大戦から生じた難民の問題に対処する目的で締結された難民条約(1951年)は,難民の定住化を促進するためのさまざまな措置をとることを加盟国に義務づけるとともに,迫害の待ち受けている国に難民を追放・送還しない義務(ノン-ルフールマンの原則),不法入国を理由に難民を処罰しない義務などを定めた。」

難民条約第1条で,難民は「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の講成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者」と定めている。
政治難民

難民条約は,迫害を受け他国に非難した個人,つまり政治難民を守ることを想定している。
環境難民

居住地の環境が悪くなったために,やむを得ずすむ場所を移動することになってしまった人々のことを環境難民ということがある。具体的には海面の上昇や大気汚染などが挙げられる。
紛争難民

居住地域が戦争,内乱,抗争の状態になり,居住地を離れることを余儀なくされた人々のことを紛争難民という。
経済難民

経済難民とは,貧困等が原因で居住地を離れることを余儀なくされた人々のこと。厳密には政治的な原因も含めて移動するという場合も多い。また移民との区別が難しいという指摘がある。
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〔問4〕
輸入代替工業化

それまで海外から財の供給を受けていたものを,国内の製品に代えていくことを輸入代替とよぶ。
経済特別区

産業を再生したり,経済の活性化を図るために,規制を一部緩和した特別の区切られた区画のこと。
垂直分業

垂直分業というのは,先進国が主に工業製品を生産し,発展途上国の原材料品と交換するという分業のパターンをいう。これに対して,国と国とが工業製品を輸出入する分業を水平分業とよんでいる。
開発独裁

発展途上国などで,近代化を急速に推し進めるために,少数指導者が官僚や郡部と結びつき,国家が強い権力で人民を支配する政治体制のことを開発独裁とよんでいる。