2004年度 センター試験【世界史B】分析
(1)全体の特徴
本年の世界史B本試は、去年に較べてやや易化した。現代史・戦後史、文化史の出題が減少し、地図を含む図版などもあまり用いられなかったが、1つの地図から3つ設問を設けるなど地図を重視しており、史料読解や年表を用いた出題がなされた。第1問は世界史Aとの共通問題となり、世界史Aの扱う内容や限界にも配慮されていた。扱われた地域は,西ヨーロッパ・東アジアを中心とし、アメリカからはほとんど出題されなかった。また、イスラームを関連させて西アジアやアフリカについても出題されている。
(2)各大問ごとの分析
第1問
ナショナリズムの歴史。例年通り、世界史Aとの共通問題であった。但し昨年より設問数が1題減少して10題となった。また、現代史の出題数も昨年より減少し、特に戦後史は問7のみであった。昨年は地図が3枚使用され、かなり難易度の高い設問が目に付いたが、今年は写真が2枚使用されたのみで、難易度も下がっている。問5は、創氏改名・強制連行の実施時期が問われており、やや判断に迷うこともある。問7は戦後史からの出題であるうえ、バングラデシュの独立時期を判断しなければならず、やや難しいが消去法でも解答が可能である。現代史・戦後史が減少した分、世界史Bの受験者にとって取り組みやすくなっている。
第2問
地中海の歴史。全体的に標準レベルの設問となっている。目立つのは、ブローデルの『地中海』を引用したリード文Aに関する設問である。問1~問3は地図を利用している。問3以外は、地図中a~dの島が解らなくても解答可能であるが、問3はサルデーニャ王国が解っても、サルデーニャ島の位置が解らないと解答できない。問1問2も地図中a~dの島が解ると解答しやすい。普段から地図で位置を確認する習慣を身につけたいものである。問8のアズハル学院は、やや細かい知識に属する。但し、消去法でも十分対応できる。
第3問
世界史上における王朝と、その支配を定着させるための施策を切り口とした大問。Aではブルボン王朝、Bでは中国の王朝、Cではロシアが取りあげられている。設問数は11題であるが、いずれも標準的なレベルである。問4は文化史、なかでもヨーロッパの医学・治療をテーマにした設問であり、選択肢の時代は広い範囲に散っている。しかし、中世の大学についてしっかり勉強できていれば、解答できる。見かけの難しさに惑わされないことが大切である。問10では、キプチャク=ハン国の都がサライであることを解答の決め手としている。しかし、他の選択肢3文がいずれも重要事項の誤文となっているので、判断にさほど苦労しないはずである。
第4問
アジア史上における都市を切り口とした大問。Aでは中国歴代王朝の都、Bでは東南アジアの港市、Cでは南アジアにおける植民地支配の拠点としての都市が、取りあげられている。東南アジアに関する問5・問7は、受験生が苦手としがちな地域をついた設問である。但し、問5は基礎的な宗教・遺跡に関する設問であり、難易度は標準レベル。時期の特定を問う問7も、誤りの選択肢が大きく時期をはずしたり、明らかな誤りを含んでいるため難問ではない。問3・問9は資料集で歴史地図などを見慣れていると解答しやすい。特に解答しにくい設問もなく、標準レベルで素直な設問が並んだ大問であった。
■問題正解
問題
【1】
【2】
【3】
【4】
【5】
【6】
【7】
【8】
【9】
【10】
正解
4
1
1
3
4
3
4
3
2
1
配点
3
2
3
2
2
3
2
3
2
3
問題
【11】
【12】
【13】
【14】
【15】
【16】
【17】
【18】
【19】
【20】
正解
1
3
3
2
3
4
4
1
3
4
配点
3
2
2
2
3
2
2
2
3
3
問題
【21】
【22】
【23】
【24】
【25】
【26】
【27】
【28】
【29】
【30】
正解
3
2
3
2
4
2
2
1
4
3
配点
3
3
2
2
3
2
2
2
3
3
問題
【31】
【32】
【33】
【34】
【35】
【36】
【37】
【38】
【39】
【40】
正解
3
3
2
3
4
4
3
3
4
4
配点
2
2
3
2
3
2
3
2
3
2
問題
【41】
 
正解
3
配点
2