2004年度 センター試験【日本史B】分析
(1)全体の特徴
大問6題、解答数36は昨年と同様。第1問はテーマ問題で「古代から現代までの学校と学問」、以降大問5題は古代史、中世史、近世史、近現代史、戦後史の時代配列で、原始からの出題はなく近現代史の比重なども昨年とほぼ同様。テーマ問題は第1問以外に、第4問でも「近世の蝦夷」が出題された。出題形式は年代整序問題が4問、3つの文の正誤を判断する問題が2問、図版・写真問題が2問、そして、「山城の国一揆」の史料文がリード文として出され、その史料に関連する問題も3問設定された。出題分野では政治分野での出題が減少し、文化史が多く出題された。また、社会・経済分野での出題もあり正誤判断などでは迷う問題も多く、全体的には難化傾向にあり、教科書を丁寧に読み込む必要がある。
(2)各大問ごとの分析
第1問
古代から現代までの学校と学問をテーマとする問題。難易度は高くないが問6の時代配列で、宇垣一成のもとで軍事教練が導入された時期を特定するのは、宇垣軍縮と宇垣一成が加藤高明内閣の陸軍大臣であることを知っていなければ難しい。軍縮と引き替えに軍事教練を導入。
第2問
古代の行政機構や政務運営に関する問題だが、社会経済分野・文化分野を含めて出題された。文章選択問題が多く、細かい知識も求められ、歴史的事象を正確に理解できていないと戸惑う。問3の仕丁の記述が教科書での扱いが少ないので、注意が必要であった。問6は文化分野中心で、東大寺の盧舎那仏造立に関する細かい知識も必要。
第3問
鎌倉時代の北条執権政治に関する問題と山城の国一揆に関する史料問題。北条執権政治に関する問題は基本的な事項が中心であり、問3の図版問題も問題文との関連は薄く、図版そのものの知識が必要であるが、難易度は低い。問4・問5の史料問題も頻出史料である。問6の『応安新式』の成立時期は判断が難しい。
第4問
近世の外交及び蝦夷地という地域をテーマとした問題に、江戸時代の代表的建築物の写真問題と江戸時代の衣服に関する小問を出題。外交と蝦夷地に関する問題は基本的事項。問3の写真問題は写真の建物の判定が鍵となる。また、問6の衣服の問題は近世の産業・特産品の知識が必要となった。
第5問
殖産興業期、第一次世界大戦後の大正期、高度成長期、それぞれの時期についての社会経済分野(産業技術分野)を中心に出題。問3のYはガラ紡の知識と大阪紡績会社の業績を、Xは鉄道整備の知識を問う正誤問題。問5は近代の自然科学分野での日本人の業績の確認。問6の大正から昭和初期の出来事と問7の戦後の出来事を問う問題は教科書本文だけでなく年表も確認する必要がある問題。第5問は全体的に判断に迷う難問が多い。
第6問
近代・現代の社会・政治に関する問題。問1の成金は常識、河上肇の『貧乏物語』も基本的な問題。問2の著作に関しては細かいが、マルクス主義による著作という誤答選択肢は比較的易しい。問3は池田隼人内閣の「寛容と忍耐」のスローガンと国民「所得倍増」計画は基本的事項。問4の石橋湛山は戦後に自由民主党総裁となり組閣。病気で短命内閣となった人物であるが、戦前は自由主義者として『東洋経済新報』で反軍部・反帝国主義の論陣を張た人物であることを確認する必要がある。
■問題正解
問題
【1】
【2】
【3】
【4】
【5】
【6】
【7】
【8】
【9】
【10】
正解
3
2
1
3
1
3
3
3
1
4
配点
2
3
3
3
3
3
3
3
3
2
問題
【11】
【12】
【13】
【14】
【15】
【16】
【17】
【18】
【19】
【20】
正解
2
1
2
1
4
3
3
4
2
4
配点
3
3
3
3
3
3
3
2
2
3
問題
【21】
【22】
【23】
【24】
【25】
【26】
【27】
【28】
【29】
【30】
正解
2
3
1
2
1
3
2
1
2
3
配点
3
3
3
3
2
3
3
2
3
2
問題
【31】
【32】
【33】
【34】
【35】
【36】
 
正解
4
1
1
2
1
4
配点
3
3
2
3
3
3