2004年度 センター試験【現代社会】解説
第1問
地方参政権
→ 教科書 P.189 「住民自治の制度には、首長や地方議会議員の公選制…がある。」

日本でも
永住外国人地方参政権付与法案の検討が行われている。
比例代表制
→ 教科書 P.194 「政党の候補者名簿に投票し得票に応じて議席を配分する比例代表制がある。」

日本では、
衆議院小選挙区比例代表並立制および
参議院比例代表選挙で、採用されている。
〔問1〕
労働基準法
→ 教科書 P.132 「労働基準法は、…労働条件の最低基準を具体的に決めて労働者を保護することを定めている。」

育児休業を保障し、その承認を企業に義務づけているのは、1992年に施行された
育児休業法による。
男女共同参画社会基本法
→ 教科書 P.90 「1999年に「男女共同参画社会基本法」が定められ、…「男女共同参画社会の実現」がめざされるようになった。」

男女共同参画社会基本法は、
性別役割分担の問題を解決し、男女対等な社会の実現をめざしている。
男女雇用機会均等法
→ 教科書 P.135 「女性差別撤廃条約…を受けて日本では、1986年に男女雇用機会均等法が施行された。」

男女雇用機会均等法は、1985年に制定され、1999年に改正されている。
セクシュアル・ハラスメント
→ 教科書 P.135 「1997年には男女雇用機会均等法が改正され、…セクシュアルハラスメントの禁止規定も新たに加えられた。」

セクハラには、職場での性的な言動により引き起こされる、労働条件の不利益(
対価型)と労働条件の侵害(
環境型)がある。
選択的夫婦別姓制度
選択的夫婦別姓制度の導入と
非嫡出子の相続差別の廃止をめざす民法改正の動きがある。
〔問2〕
直接請求権
→ 教科書 P.189 「住民投票、イニシアティブ、リコール、監査請求などの直接請求権」
地方自治体の首長および地方議会議員の選挙権も地方参政権のひとつである。
〔問3〕
選挙管理委員会
→ 教科書 P.188 「地方公共団体の組織」図

監査請求は
監査委員に対しておこなう
産業廃棄物処理場建設
→ 教科書 P.22 「産業廃棄物処分場建設の是非を問う住民投票がおこなわれている」
岐阜県御嵩町の産業廃棄物処分場建設に関する
住民投票条例は有名
住民投票条例
→ 教科書 P.34 「住民の直接投票をおこなうことを定めた条例が各地で制定されている」

条例の制定・改廃の請求は、首長に対しておこなう
〔問4〕
在留外国人

永住外国人への選挙権を付与は、
憲法上禁止されていないとの最高裁判決(1995)はあるが、法律が改正されたわけではない
禁錮刑に処せられその刑の執行を受けている者
公職選挙法により禁錮刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者には選挙権が認められない
一定額以上の税を納める満25歳以上の男女にのみ選挙権
→ 教科書 P.192 「日本の選挙権の沿革」図

近代民主制のはじめのころは
制限選挙制や
等級選挙制がおこなわれた。
在外選挙
公職選挙法の改正(1998)により海外居住者の海外での投票が認められた
第2問
下院における与党と野党との討論

イギリス議会は長方形で、与野党が向かい合って座り、2本の
剣線をはさんで、討論をする
党首討論制

イギリスの
クエスチョンタイムにならって2000年の国会審議活性化法の成立により導入された制度
〔問1〕
一事不再理の原則

事件が裁判で確定したあとに、もう一度裁判をやり直す制度である
再審は認められている
法律の留保
→ 教科書 P.159 「臣民の権利は法律の認める範囲内で保障されるものに過ぎなかった」

法律の留保は、
大日本帝国憲法での基本的人権の制限
法の支配
→ 教科書 P.149 「政治権力は…法にもとづいて行使されなければならない」

法の支配は、
人の支配に対する言葉で、絶対王制を打倒する市民社会の原理となった
免責特権
→ 教科書 P.180 「国会議員には…院内での発言などについて院外で責任を問われない免責特権(第51条)が認められている。」

免責特権は
国会議員にのみ認められている
〔問2〕
直接民主主義
→ 教科書 P.152 「中世の都市国家などは、…人民集会のように市民が直接参加して重要な決定を行なうことができた(直接民主主義)」

憲法は国政レベルでの
代表制民主主義(間接民主主義)を原理としている
憲法改正の発議
→ 教科書 P.181 「国会は…憲法改正の発議(第96条)などの重要な権限をもっている。」

憲法改正の発議には
各議員の3分の2以上の賛成が必要とされている
国民投票
→ 教科書 P.161 「憲法の改正は、国会両院の総議員の3分の2以降の賛成と国民投票の過半数の賛成が必要」

憲法改正の承認には、
特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票で過半数の賛成が必要
国民審査
→ 教科書 P.187 「最高裁判所裁判官の国民審査は、国民による一種のリコール制度」
最高裁判所の裁判官は、国民審査で多数が罷免を可とするときは、罷免される
〔問3〕
首相公選制

首相を
国民の直接選挙によって選ぶ制度であるが、導入には憲法改正が必要になる
成文の憲法典

憲法典には、
成文憲法と不文憲法があり、イギリスは成文憲法をもたない。
違憲立法審査権
→ 教科書 P.155,187 「裁判所は違憲立法審査権(違憲審査権)を行使して、議会や行政に対する強い抑制機能をはたすことができる」

日本では、
裁判所が違憲立法審査権を行使する
憲法裁判所
→ 教科書 P.187 「ドイツなどの国は、…特別の憲法裁判所を設けて違憲審査をおこなわせる制度をとっている」

憲法裁判所は、憲法に関する判断をその職分とする裁判所で、
ドイツ、フランス、イタリアなどで設置されている
イギリスの上院
→ 教科書 P.155図 「上院 任期・定数不定 法律貴族」

上院は、世襲貴族・生涯貴族や聖職者などの
非民選議員で組織される
〔問4〕
政府委員制度

政府委員制度は、1999年の
国会活性化法により廃止された
法案や予算案を提出
→ 教科書 P.181図 「議員発議案 内閣提出案」

現行憲法では、は法案や予算案を提出できるが、
法案提出権を議員にかぎるとする改正案が論議されている
政党に助成金
→ 教科書 P.195 「1994年に政党助成法が制定され、政党に国庫から助成金を配分」
政党助成法は、1994年に 平成6年の選挙制度及び政治資金制度の改革の一環として成立した
公職選挙法
→ 教科書 P.193 「戸別訪問禁止や文書配付の制限…などの問題点も指摘され…公職選挙法の改正…などの改革も行われている」

公職選挙法では、戸別訪問や買収など選挙運動にかかる
禁止規定がある
連座制

候補者と一定の関係にある者が買収など悪質な選挙違反をすれば、候補者の
当選が無効になる制度
第3問
宗教観
→ 教科書 P.48 「宗教とは死とは何か、という問いへ答えを何らかの形で与え…ようとするものである」

宗教観とは、
神の存在や死後の世界などについて個人がもつ一定の考え方や意識のこと
東西冷戦
→ 教科書 P.222 「アメリカを中心とする…資本主義陣営と、ソ連を中心とする…社会主義陣営との対立」

東西冷戦は、第二次世界大戦後の政治的・軍事的対立であったが、1989年の米ソ首脳はマルタ島で
冷戦の終結を宣言した
グローバル化
→ 教科書 P.77,238 「個人・企業・各種団体などが、国家の枠をこえて全地球規模で活動をおこなうようになること」

グローバル化は、狭義では市場主義と
アメリカ的価値観の世界的展開を意味しする
宗教紛争

宗教上の対立が、地域紛争に発展することは、17世紀の
30年戦争などの例に見られるように、深刻な社会問題を引き起こす
自由からの逃走

1941年に発表された
フロムの著作のタイトルであり、ナチズムの下での自由の意味を分析したもの
日本人に特徴的な宗教に対する寛容さ

日本の宗教の多くは、
シンクレティズム(宗教混交)の性格が強く、他の宗教に対して寛容性をもっている
〔問1〕
クリスチャン

キリスト教は、民俗宗教ではなく、
普遍宗教として、超越的原理に対する信仰心を前提として成り立つ
〔問2〕
冷戦終結
→ 教科書 P.224 「米ソ首脳は、1989年12月のマルタ会談で冷戦の終結を宣言した」

1989年の冷戦終結の宣言の後、各地で
地域紛争や民族紛争が激化している
中東紛争
→ 教科書 P.226図 「パレスチナ紛争地図」図
イスラエルとパレスチナとの間の中東紛争は、第二次大戦後の1948年以来4次にわたり周辺のアラブ諸国を含む戦争となった
チェチェン紛争
→ 教科書 P.226「ソ連邦も解体・消滅し…たが、チェチェンなどの民族紛争は激化の傾向を示している」

チェチェン共和国が、
ソ連崩壊後の1991年にロシアからの分離独立を宣言したことから起こった紛争
ボスニア・ヘルツェゴビナで起こった紛争
→ 教科書 P.224,226「旧ユーゴ連邦の解体と新国家の建設にともなうボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」

ボスニア・ヘルツェゴビナは1992年にユーゴスラビア連邦より独立して成立したが、
セルビア・クロアチア・ムスリムの3勢力の対立から紛争が激化した
ヒンドゥー教徒とイスラム教徒との間に生じた紛争
→ 教科書 P.224 「カシミールをめぐるインド・パキスタン紛争」
カシミール地方をめぐるインドとパキスタンの対立は、1947年以来、3次にわたる戦争を引き起こした
〔問3〕
反グローバリズム運動
→ 教科書 P.239写真 「グローバル化に異議あり」の新聞報道

グローバリゼーションが先進国による世界経済の支配に過ぎないとして、
反WTO・反多国籍企業の運動が起こっている
多国籍企業
→ 教科書 P.103 「活動が一国内にとどまらず、複数の国にまたがる多国籍企業」

2ないしそれ以上の国で資産を支配する企業で、複数の国に生産、流通の拠点をもち世界規模で活動する
世界企業のこと
世界貿易機関(WTO)
→ 教科書 P.250 「GATTは1995年、世界貿易機関(WTO)へと改組された」

GATTを前身に、1995年に発足した機関で、自由貿易体制確立のため、世界共通の貿易ルールを定め、国際間の
貿易紛争の処理にあたる
開発途上国
→ 教科書 P.252 「植民地時代の途上国経済は、…モノカルチャー経済が多かった」

経済発展・開発が遅れており、現在経済成長を目指している国をさし、略して途上国ともいう
経済格差
→ 教科書 P.252 「先進国の植民地や保護国にされてきた多くの国々〔と〕…先進国とのあいだに、極めて大きな経済格差が発生した

グローバル化の進展により、南北間の経済格差はかえって拡大している
南北問題
→ 教科書 P.252 「南北問題は、現代の国際社会における、もっとも重大な問題の一つである」

北の先進国と南の開発途上国との対立は、かつての
植民地主義からの政治的解放が経済的解放につながらなかったことに起因している
グローバル・スタンダード
→ 教科書 P.78 「各国間の制度や手続きのちがい…を調整し、一定の規格や標準的方式がつくられる」

グローバル・スタンダードが、開発途上国にとっては、先進国の市場原理の押し付けとして、批判の対象としてとらえられている
〔問4〕
境界人(マージナル・マン)
→ 教科書 P.82 「青年はもはや子どもではないと同時に、いまだおとなでもない…状態」

ドイツ生まれでアメリカで活躍した心理学者
レヴィンは、青年期を境界人の時代ととらえた
欲求不満
→ 教科書 P.84 「人間の行動の原動力となる欲求…が満たされないとき、欲求不満におちいる」

欲求不満の解消のため、
適応行動の形態として
防衛機制を明らかにしたのは、
フロイトである
義務の履行や責任が猶予された状態
→ 教科書 P.83 「おとなとしての責任や義務が免除されている時期〔を〕…エリクソンは…心理社会的モラトリアムと名づけた」
エリクソンは、青年期の心理的特徴を
心理-社会的モラトリアムととらえている
自我を形成する状態
→ 教科書 P.84 「青年期は…本当の自分をさがし求め、自我の確立をめざす時期である」
マズローの欲求段階説によれば、第5段階に
自己実現欲求がある
〔問5〕
エーリッヒ・フロム

ドイツ生まれでアメリカに帰化した学者で、 精神分析的方法を社会現象に適用する
新フロイト主義の立場にたった
自由
→ 教科書 P.202-203 「自由〔には〕…抑圧からの自由…人格としての自由〔2つの意味がある〕」

フロムは「~からの自由」「~への自由」という二つの自由を区別している
全体主義
→ 教科書 P.206 「アドルノはファシズムを支持した人々の心理性格を…権威主義パーソナリティと定義した」

自由からの逃走が、結果的にファシズムの擁護につながる
権威主義態度を生み出す
ファシズム
→ 教科書 P.154,206 「民主社会を否定し、国家権力による独裁を目指したファシズム」

第一次大戦後にイタリア・ドイツ・日本などで成立した
軍事独裁体制をさす
〔問6〕
フリーター
→ 教科書 P.80 「フリーターの増加は、若者の職業意識の変化が原因であるとの指摘がある」

フリーターとは学校卒業時点で就職も進学もしていない
学卒無業者のこと
〔問7〕
世界の宗教分布
→ 教科書 P.49図 「宗教の分布」図

三大宗教の他にすれば、人口割合ではインドの
ヒンズー教が多い
プロテスタント
→ 教科書 P.49図 「キリスト教 カトリック・ギリシア正教・プロテスタント・その他のキリスト教」

16世紀の
宗教改革以来、北欧ではプロテスタントの割合が多い
カトリック
→ 教科書 P.49図 「キリスト教 カトリック・ギリシア正教・プロテスタント・その他のキリスト教」

南欧では、
ローマカトリック教会を中心とするカトリックの割合が多い
世界三大宗教
→ 教科書 P.49図 「キリスト教 イスラム教 仏教」
仏教・キリスト教・イスラムを世界の三大宗教という
〔問8〕
タテ社会
→ 教科書 P.92 「自他の調和〔に〕優先的な価値をおく共同体の倫理…上下の人間関係」

中根千枝は、日本社会の特徴を
タテ社会ととらえて分析した
恥の文化
ベネディクトは、日本人の行動原理を
恥の文化ととらえている
罪の文化

欧米人の行動原理は、キリスト教信仰に基づく
罪の文化とされる
個人主義
→ 教科書 P.93 「個人の独立自自尊…を重視する〔福沢諭吉の〕考えは、伝統的な考えと対立するものであった」

個人主義は、
西欧近代思想の原理として、明治時代以後に輸入された
集団主義的な傾向
→ 教科書 P.92 「共同体の和を乱すような個人の行為や言動は、はずべきものと考えられる」
和の精神は、日本社会の共同体倫理として、伝統となっている
タテマエ

「タテマエ」は
「公」の原則に基づくものであり、「ホンネ」は
「私」の信念に基づくもの
ホンネ

「タテマエ」と「ホンネ」を公私の間で安直に使い分けるところに日本社会の特質をとらえる見方もある
第4問
国内総生産(GDP)
→ 教科書 P.120 「一国の経済活動の大きさをはかる尺度としてGDP(国内総生産)とGNP(国民総生産)がある」

GDPは、一定期間内に国内で産み出された
付加価値の総額のこと
社会保障政策
→ 教科書 P.138 「健康で文化的な生活が営めるよう、社会全体で助け合うしくみが社会保障である」

日本の社会保障は、
社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生を4つの柱としている
国富

土地・建物・機械など
実物資産と預金・株式など
金融資産の合計である国民資産から、国民負債を差し引いたもの
高度成長期
→ 教科書 P.120 「1956年〔から〕…1973年まで、日本経済は実質で年平均10%前後の高い経済成長率をつづけた」

高度成長により、日本は1968年に西ドイツを抜いてGNP西側第二位の
経済大国となった
完全雇用

古典派理論よれば、労働市場で実質賃金の上下により労働需給の均衡がもたらされ、
完全雇用が常に実現されると考える.
第一次石油危機
→ 教科書 P.121 「1973年には第1次石油ショックで原油価格が4倍以上にも上昇した」

1973年10月
第四次中東戦争が始まり、
OPECは原油価格の大幅な引き上げを行った
経済のソフト化・サービス化
→ 教科書 P.123 「もの(ハードウェア)の生産よりも…知識や情報(ソフトウェア)の生産が中心となっていくことを、経済のソフト化という」
第三次産業の割合が増大するとともに
知識・情報を重視する傾向が経済のソフト化・サービス化をおしすすめている
バブルとその崩壊
→ 教科書 P.122 「バブル経済と呼ばれる投機的な行動がひろがった〔が〕1990年代にはいると…バブル経済が崩壊した」

1980年代後半から1990年代にかけて、土地と株式の
資産価値の異常な膨張と収縮が起こり、バブルとその崩壊を経験した
失われた10年
→ 教科書 P.122 「1990年代にはいると…日本経済は長い不況に落ち込んだ」

バブル崩壊後、1990年代の長い日本経済の低迷状態を
失われた10年という
〔問1〕
国民総生産(GNP)
→ 教科書 P.120 「GNPは、1年間に国民が新たに生み出した価値(付加価値)の総額である」

GNPは、GDPとは異なり、一定期間内に
国の内外に関わらずその国民が生み出した付加価値の総額のこと
国民所得
→ 教科書 P.120 「GNI(国民総所得)はGNPを分配面からみたもの」

一国で一定期間に個人と企業が新しく生み出した所得の合計額
〔問2〕
フロー

一定期間で新たにつくり出された付加価値の合計を
フローといい、住宅総戸数、自動車の保有台数、預金残高など、経済財の存在量を
ストックという
生活関連の社会資本
→ 教科書 P.115 「上下水道、公園、学校など国民の生活環境に関する生活関連社会資本」
生活関連社会資本とは、公園、下水道などの生活に関連する施設・設備の総称で、道路・港湾などの
産業関連社会資本と区別される
〔問3〕
家計貯蓄率
→ 教科書 P.121 「国民の高い貯蓄率」

家計貯蓄率は、家計の
可処分所得に占める貯蓄の割合を示し、その高さが高度成長を支えたといわれる
産業基盤

港湾・道路などは、産業活動の基盤となるため、
産業関連社会資本とされる
安価な資源
→ 教科書 P.121「原油などのエネルギー資源や原材料を大量に安く仕入れることができた」

高度成長期に石炭から石油への
エネルギー転換が起こり、中東の安価な石油輸入が成長を支えた
〔問4〕
三大都市圏

三大都市圏(東京圏、名古屋圏、関西圏)の人口は、全国人口の約半数を占めているが、地価は高く、
「遠・高・狭」の住宅問題が指摘されている
流入超過人口

都市への人口集中が
過密・過疎問題を引き起こした
地方の時代
→ 教科書 P.30 「地方分権は、こんにちの世界的な社会改革の動きの一つである」

「地方の時代」は、1979年以来、
地方分権を重視する人々のキャッチ・フレーズとなった
東京一極集中
経済の国際化・情報化が東京の地位を高め、80年代から人口の東京再集中をもたらし、バブル経済のもとで一極集中につながった
地価下落
バブル経済の崩壊により1990年代の地価下落が起こったが、
産業の空洞化により工場の海外移転がすすんだ
〔問5〕
産業構造の高度化
→ 教科書 P.121-122 「第1次産業の比重が減少し、…第2次産業や…第3次産業の比重が高まり、産業構造が大きく変化した」

産業構造の高度化は、
ペティ=クラークの法則と
ホフマンの法則により説明される
軽薄短小型産業
→ 教科書 P.122-123 「コンピュータ、ICなど、エネルギーの消費量が小さく巨大な生産設備を必要としない「軽薄短小」型産業」
経済のソフト化の流れにより、軽薄短小型産業のシフトが起こっている
重厚長大型産業
→ 教科書 P.123 「鉄鋼、石油化学など、エネルギーを大量に消費し巨大な生産設備を必要とする「重厚長大」型産業」

高度経済成長期には、重厚長大型産業が経済成長をささえた
〔問6〕
完全失業率
→ 教科書 P.122図,137 「日本の企業は雇用調整によって…新規雇用を抑制したため、若年層の失業率は10%をこえた」
労働力人口に占める完全失業者(満15歳以上で、就業を希望しつつ、求職活動をしている失業者)の割合のこと
実質経済成長率

GDP(国内総生産)の成長率のことで、
名目成長率から物価上昇分を調整したものが
実質成長率となる
地価変動率

土地の売買価格の変動率のことで、バブル経済のもとで急騰し、その後下落している
65歳以上人口割合
→ 教科書 P.72 「多くの先進国では総人口に占める65歳以降の老年人口の割合が急速に増加した」
老年人口(老齢人口)の割合のことで、2002年では18.5%であるが、2035年ころには30%を越えると予測されている
〔問7〕
世論調査
→ 教科書 P.192 「民意は…世論調査やマスメディアの論調…など選挙以外の多様な形でも表明される」

一定の事項に対する人々の意見や態度を
アンケートや聞き取り調査により量的に測定するもの
第5問
人種差別
→ 教科書 P.230 「極端な人種差別政策が地域紛争をひきおこすことがある」

人種的な特色を理由に、特定の人種を政治的・社会的に差別することで、かつての南アフリカの
アパルトヘイト政策などが例となる
国際連合
→ 教科書 P.217 「1945年6月、…51か国を原加盟国とする国際連合が誕生した」

国際連合は、国際社会の安全と平和維持とともに、国際的な
人権保障のための施策をおこなう
国連憲章
→ 教科書 P.162,217 「1945年6月、サンフランシスコ会議において国際連合憲章が採択された」

国連憲章第1条第3項で
「人権と基本的自由の尊重」を目的の一つとして掲げている
国連総会
→ 教科書 P.218-219 「国連機構図」図

国連総会は、国連の主要機関で、全加盟国が
1国1票の投票権をもつ
世界人権宣言
→ 教科書 P.228 「国連総会は…1948年に世界人権宣言を採択した」

世界人権宣言は1948年12月10日に国連総会で採択されたため、毎年12月10日は
「人権デー」とされている
国際人権規約
→ 教科書 P.228 「1966年国連総会は、世界人権宣言をより具体化し、法的拘束力をもたせた世界人権規約を採択した」

市民的及び政治的権利の保障だけでなく、
欠乏からの自由つまり経済的、社会的及び文化的権利の確保を目的としている
安全保障理事会
→ 教科書 P.217-218 「国際平和と安全の維持に主要な責任を負う国連機関である安全保障理事会」

5国の
常任理事国と10国の非常任理事国からなり、平和と安全保障の問題をあつかう組織
国内法

一国家内において適用される法で、
国家法とも呼ばれる
国際法
→ 教科書 P.213 「ウェストファリア条約…後、19世紀末までに国際法は主として対外関係における主権国家の活動を規律する」

国家間の合意に基づいて成立し、国家間の関係を規律する法のことで、
条約と国際慣習法とから成る。
〔問1〕
人種差別撤廃条約
→ 教科書 P.215,228 「難民条約、人種差別撤廃条約、女子差別撤廃条約、子どもの権利条約などが結ばれた」

1965年に国連で採択された条約で、「人種、皮膚の色、血統または民族的・部族的出身」による差別の撤廃をめざす
女性差別撤廃条約
→ 教科書 P.215,228 「難民条約、人種差別撤廃条約、女子差別撤廃条約、子どもの権利条約などが結ばれた」

1979年に国連で採択された条約で、女性の
社会参加の保障と
性別役割分担の見直しをめざす
子どもの権利条約
→ 教科書 P.215,228 「難民条約、人種差別撤廃条約、女子差別撤廃条約、子どもの権利条約などが結ばれた」

1989年に国連で採択された条約(児童の権利に関する条約)で、満18歳未満の子どもの人権の保障をめざす
深夜労働
→ 教科書 P.135 「労働基準法が改正され、時間外労働や深夜業などについての女子保護規定が原則として撤廃された」
労働基準法では、満18歳未満の年少者を午後10時から午前5時までの間の労働をさせてはならないとされている
地方自治法
→ 教科書 P.30,191 「1999年、地方自治法など475本の法律改正案からなる地方分権一括法が成立した」

公権力の行使又は国家意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とすることは、明文規定がなく、
「当然の法理」とされてきたが、
定住外国人に対してその制限の緩和する動きがある
尊属殺人

最高裁判所での違憲判決が出た刑法の
「尊属殺人重罰規定」は、1995年4月の改正で削除された
家庭科が男女必修
→ 教科書 P.90 「男女が性別による差別的取り扱いを受けないこと」(男女共同参画社会基本法)

女性差別撤廃条約の批准をうけて、家庭科の
男女共修は、1989年の新学習指導要領に盛り込まれ、1994年度から実施された
〔問2〕
組織的な人権侵害
→ 教科書 P.228「植民地支配やファシズムによって人権が抑圧され、また悲惨な虐待行為が生じた」

第二次大戦中にはナチスによる
ユダヤ人迫害など、国家による組織的人権侵害が行われた
〔問3〕
国際司法裁判所
→ 教科書 P.213写真,215 「国際連盟時の常設司法裁判所を受けつぎ、国際紛争の平和的解決を任務とする」

国際司法裁判所が 国際裁判を管轄するには、
紛争当事国の何らかの合意を必要とする
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
→ 教科書 P.231 「各国が負担を分担して難民を保護する国際協力の体制がとられている」

1951年に設立された国連機関で、
国際的難民保護を目的としている
非政府組織(NGO)
→ 教科書 P.212,229 「世界的に連帯する市民運動や非政府組織(NGO)の活動が国際的な世論の形成を促進することも多い」

政府機構とは区別される民間団体で、開発問題、人権問題、環境問題、平和問題など、
地球的規模の問題の解決に取り組んでいるものが多い
平和維持活動(PKO)
→ 教科書 P.218-219 「外国兵力の撤退や停戦監視、…平和回復後の選挙監視などを任務とした…「平和維持活動」」

非武装の監視団と軽武装の平和維持軍(PKF)にわけられ、地域紛争の解決のために活動する
〔問4〕
アパルトヘイト政策
→ 教科書 P.231 「南アフリカのアパルトヘイトは、国連の取り組みや内外からの批判などもあって、1994年についに廃止された」

白人以外の人種に対して、
居住地の隔離や公共施設の区別などの政策で、1991年に全面撤廃された
経済制裁措置
→ 教科書 P.215 「国際連盟〔では〕…制裁が経済制裁に限定されていた」
通商貿易の削減や海外資産の凍結などの経済上の強制力による制裁
北大西洋条約機構(NAT0)
→ 教科書 P.222,225 「軍事的にはアメリカが主導する北大西洋条約機構(NATO)」
ソマリア内戦においては、NATOではなく、アメリカを中心とする
多国籍軍が1992年に派遣された
国際刑事法廷
→ 教科書 P.226 「旧ユーゴ国際刑事法廷やルワンダ国際刑事法廷」

旧ユーゴ国際刑事法廷は、国家元首であったミロシェビッチ大統領ほか政府要人を起訴した
多国籍軍
→ 教科書 P.227 「湾岸戦争で、国連は…多国籍軍に制裁措置をとることを認めた」

旧ポルトガル領の東ティモールは、2002年にインドネシアからの独立したが、その独立紛争では国連の多国籍軍が派遣された
第6問
開発援助
→ 教科書 P.255 「日本のODA(政府開発援助)の額は、2000年で134億2000万ドルであるが、GNP比率では他国と比べて高くない」
開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つために行う資金・技術提供による協力のこと
将来世代
→ 教科書 P.15 「現在の環境をこわしてしまうと、将来世代の人々が住む環境をうばうことになる」

環境問題や社会保障問題などは、
現役世代と将来世代との関係が問題となる
〔問1〕
持続可能な開発
→ 教科書 P.10年表 「2002 持続可能な開発に関する世界首脳会議」

1992年の
地球サミットで取り上げられたこの概念は、環境と開発が互いに反するものではなく共存するものであることを前提としている
識字率

文字を読み書きする能力の国民への普及度を示す識字率は
初等教育の浸透状況を測る指針として、広く使われている
国連貿易開発会議(UNCTAD)
→ 教科書 P.221 「総会の下に国連貿易開発会議(UNCTAD)を設置した」

先進国と開発途上国との
通商・経済協力をテーマに、1964年に設置された国連機関のひとつ
〔問2〕
政府開発援助(ODA)
→ 教科書 P.255 「日本のODA(政府開発援助)の額は、2000年で134億2000万ドルであるが、GNP比率では他国と比べて高くない」

開発途上国の経済開発や福祉向上のために政府レベルで行われる援助資金のことで、1989年に日本のODAは金額で1位となった
民間非営利団体(NPO)
→ 教科書 P.33 「1998年、特定非営利活動促進法…は、営利を目的とせず、公益の実現をめざして活動する団体(NPO)に法人格を認めた」

教育・文化・医療・福祉・国際協力などの分野で社会的活動をおこなう非営利組織のこと
〔問4〕
国連開発計画(UNDP)
→ 教科書 P.157 「国連開発計画(UNDP)は、…「人間の安全保障」という概念をうち出した」

開発途上国の経済的・社会的開発の促進を目的とする国連機関で、
専門家の技術援助および特別基金をもとに活動をしている
経済協力開発機構(OECD)
→ 教科書 P.242 「先進国が世界経済全体の問題を協議するための機関。…30か国が加盟」
先進資本主義国が加盟する国際機関で、通貨の安定・経済発展・貿易の拡大などを目的としている
オックスファム・インターナショナル

オックスファム・インターナショナルは、世界各地に起こる
貧困問題に対して、国際的に連帯をして取り組むため、1995年に国際的なNGOの連合体としての設立された
人間開発指標

HDIと略称され、平均余命・就学率・識字率・実質所得などをもとにUDNPが公表する指標
第7問
公害問題
→ 教科書 P.126-128 「事業活動その他の人の活動に伴って…人の健康または生活環境に係る被害が生ずること」(環境基本法)

公害対策基本法に規定される
典型7公害のように、生活環境の破壊と住民の健康被害をもたらす問題
都市問題

都市への
人口集中による、住宅難・交通渋滞・騒音など都市生活に特有の諸問題
全国総合開発計画

1962年に経済企画庁が策定した計画であり、
拠点方式による 国土計画を進めることをめざした。新全総以後は
国土庁の所轄となっている
新全国総合開発計画

1969年に「新全国総合開発計画」(新全総)が策定され、
新幹線・道路網の整備がおこなわれた
第三次全国総合開発計画

1977年に「第三次全国総合開発計画」(三全総) が策定され、
居住環境の総合整備をめざした
第四次全国総合開発計画

1987年に「第四次全国総合開発計画」(四全総)が策定され、
交流ネットワーク構想による開発がめざされた
住民参加による合意形成
→ 教科書 P.29 「行政の役割の一部が住民組織に委譲(分権)され、それが住民の参加によって行使される制度」

行政の政策決定過程への住民参加は,市民・住民運動にその起源をもち、近年では
市民分権の動きにつながっている
市場メカニズム
→ 教科書 P.100 「市場で価格の動きを仲立ちとして、全体として需要と供給が自動的に調整されている」

市場における自由な売買により価格が決定されることで、
需要供給の調整と
資源の効率的配分が実現されるしくみのこと
地球環境問題
→ 教科書 P.10 「地球環境問題には、温暖化、オゾン層破壊、海洋汚染、酸性雨、砂漠化、…などがある」
温暖化・オゾン層や熱帯雨林の破壊・海洋汚染など全地球的な規模での環境問題のこと
〔問1〕
水俣病
→ 教科書 P.126-127 「熊本県水俣湾から不知火海岸で発生した水俣病、新潟県阿賀野川流域で発生した新潟水俣病」
有機水銀中毒による神経障害で、熊本県水俣市や新潟県で死者を含む深刻な被害が発生した
四大公害裁判
→ 教科書 P.127表 「四日市ぜんそく、富山イタイイタイ病、新潟水俣病、熊本水俣病」

1960年代後半より、全国各地の公害事件において、被害住民が損害賠償を求める裁判をおこし、被害者側が勝訴した
原因企業に対する損害賠償請求
→ 教科書 P.127 「OECDにより「汚染者負担の原則(PPP)」を受けて、…汚染防除費用だけでなく、被害者救済のための費用も、汚染者原因者の負担とする」

公害を発生させた企業が、損害賠償や公害防止のための費用を負担する
PPPの原則が国際的に認められている
環境基本法
→ 教科書 P.127 「1993年には、…公害行政全体の見直しをはかる環境基本法が制定された」

環境基本法は、
公害対策基本法・自然環境保全法を発展的に解消したもので、環境政策の基本となるもの
〔問2〕
日照を確保
→ 教科書 P.178 「環境権の主張は「良好な環境を享受する権利」を人権として確立する」

日照権は、憲法25条が保障する健康で文化的な生活を営むために太陽の光を享受する権利であり、憲法上に規定のない
新しい権利の一つである
地球温暖化
→ 教科書 P.11 「化石燃料が大量にもよされるようになり、…地球全体の平均気温が上昇しはじめた」

炭酸ガス・フロンガスなど
温室効果のあるガスの濃度が増大し、地球全体の気温が上昇すること
〔問3〕
スプロール化

都市周辺の地域で、
住宅開発が無秩序に行われ、道路・学校など都市基盤の整備が遅れること
ドーナツ化
都市環境の悪化や地価高騰により都心の人口が、都市郊外に流出して、残された住宅街でスラム化などの問題がおこること
スラム化

大都市の中心や周辺地域に、
劣悪な住環境のもとに低所得層の多数の人が居住する地域がつくられること
〔問5〕
日本列島改造ブーム

1972年に田中角栄通産相の
「日本列島改造論」により、開発ブームが巻き起こり地価が高騰した
国民所得倍増計画
→ 教科書 P.121年表 「1960 国民所得倍増計画決定」

1961年に池田勇人首相により実施された
経済計画で、10年間で国民所得を二倍にするというもの
〔問6〕
原子力発電所の建設
→ 教科書 P.20-21 「原子力エネルギーは、石油にかわるもっとも有望なエネルギーとして開発がすすめられてきた」

原子力発電所からの
放射性物質の汚染事故とともに、稼働率の低さや廃炉処理費用など、原子力発電所の建設への反対も多い
酸性雨
→ 教科書 P.10 「地球環境問題には、温暖化、オゾン層破壊、海洋汚染、酸性雨、砂漠化、…などがある」

排ガス中の
硫黄酸化物・窒素酸化物が化学反応により酸性度の高い雨水となったもの
生態系
→ 教科書 P.11,129 「急速な気候変化が自然の生態系を乱し、…絶滅に追いやられる生物種がふえた」

一定の地域に生息する生物とそれをとりまく環境との間に成り立つ物質とエネルギーの循環のしくみであり、
エコ・システムともいう
〔問7〕
国際規格ISO14001
→ 教科書 P.78 「環境保全企画ISO14000シリーズ」
国際標準化機構(ISO)が定める環境マネジメントシステム規格であり、組織が自ら環境方針をさだめ、実行する基準となるもの
環境影響評価
→ 教科書 P.127-128 「開発が環境にもたらす影響について事前に評価する環境アセスメントは、1997年に…立法化された」

1997年に
環境アセスメント法が成立し、事業による環境破壊の未然防止をする手続きがさだめられた
低排出ガス車や低燃費車の税金を軽減

2001年の地方税法の改正により、自動車の燃費や排出ガスが環境に与える負荷の度合いによって税率を重くしたり軽くしたりする
グリーン化税制が実施された
エコマーク商品
→ 教科書 P.14図 「オゾン層の保護に役立つ商品には…マークが表示される」
環境保全に役立つと認定された商品につけられるマーク